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少額訴訟のすすめ

※文章は2001年12月の法律を元に記述されています

「販売した商品の代金を払ってくれない」「駐車場に止めてあった車をぶつけられたが、相手が修理代を払ってくれない」「貸したお金を返してくれない」「借りていたアパ−トを明け渡したが、大家が敷金を返してくれない」……こんな時、皆さんはどうしていますか?
もちろん、相手方が話し合いに応じてくれればそれに越したことはありませんが、話し合いが平行線をたどり、解決できない場合があります。また、相手方が話し合いにすら応じない場合があります。どうしても話し合いで解決できない場合には、最終的には裁判を起こすしかありません。しかし、裁判というと弁護士を頼まねばならず、多額の費用がかかると考えて二の足を踏む人も少なくありません。
上記のような事例における解決方法には、(1)調停、(2)支払督促、(3)訴訟 があります。

  1. 調停
    …とは、訴訟という対立を避けて、裁判所の力を借りて、穏やかに話し合いで解決をしたい場合に利用します。歩み寄りの可能性が多分にあり、話し合いによる解決が見込まれる場合や、近所同士の争いのような場合で訴訟によるしこりを避けたい場合に用います。法律よりも条理・常識を前提とした話し合いがなされます。解決案は、当事者相互の承諾により効力が発生します。担当する調停委員の個性に左右されることもあることや、当事者の一方が拒否すれば不調に終わる欠点があります。


  2. 支払い督促 
    … とは、相手方が金銭等の支払いをしてくれない時で、裁判所からの督促があれば解決が見込まれる場合に用います。証拠を添付する必要もないし、費用も安く迅速です。但し、相手方が行方不明だとできず、また、原則として相手方の住所地の簡易裁判所にしかできません。相手が督促に対し異議を申立てなければ、こちらの言い分のみにて確定判決と同様の効果を得られますが、異議申立てがあれば通常の訴訟に移行するしかありません。サラ金が遅延者に督促をする時にしばしば用います。

  3. 訴訟 
    … とは、裁判所への提訴、主張の整理、証拠調べを経て判決が言い渡される、最もポピュラ−かつ厳格な紛争解決手段です。法律知識がなければ対応できず、普通の人は本人だけではとても無理です。

訴訟を起こす場合は、通常は弁護士に依頼しなければ対処しきれず、少なからぬ費用がかかること、また、裁判が長期におよび、解決に時間がかかる欠点があります。4〜50万円程度の事件ならば、裁判にかかる手間と時間や弁護士費用を考えれば、泣き寝入りした方が得だという人も多いですし、弁護士の中にも、50〜100万円程度の少額事件は引き受けたがらない人もいるようです。もらえる着手金や成功報酬と費やす時間とを比較して、割に合わないと考えるのでしょう。

こんな時、係争金額が30万円以内の金銭の支払請求であれば、簡易裁判所への訴訟手段のひとつである「少額訴訟」を選択してはいかがでしょうか? 少額訴訟は、弁護士を立てずに本人で提訴することも可能ですし、1回の審理で即日判決が言い渡されるので、安く、早い解決が可能です。
少額訴訟に向いている事件は、争点が比較的単純であること、判決が即日おりるため、即時取り調べが可能な証拠が揃っていること、相手方への連絡が円滑に行われる見込みであること(公示送達の利用はできない)、相手方にも解決の意思が見込まれること、などの点をクリアしていることが必要です。
少額訴訟の特色は、次のような点にあります。

  1. 簡易裁判所が管轄する民事事件(つまり90万円以下の事件)のうち、訴額が30万円以下の金銭の支払請求であること。物品の引渡し請求や建物の明け渡し請求、境界紛争などには利用できず、また、金銭であっても30万円を超える場合には利用できません。


  2. 当事者双方が少額訴訟によることを選択していること。相手方が不同意ならば、通常の訴訟に移行します。


  3. 相手方に対し、公示送達をしなくても連絡が届くことが必要であること。

  4. 同一の簡易裁判所において、一人あたり年間10回までしか利用できないこと。サラ金による濫用を防止するために設けられた規定です。


  5. 審理は原則として1日で終了し、証人尋問や当事者本人尋問もその日のうちに行い、即日判決の言い渡しがあること。審理には、反訴が禁じられていること。この迅速さが特長です。


  6. 証拠調べは、即時に調べることができるものに限られること。


  7. 証人がいる場合は、同行または呼び出しが可能であること。証人尋問は宣誓を省略でき、また、電話会議の方法によることもできること。


  8. 判決では、支払期限や分割弁済について定めたり、訴えの提起後の遅延損害金を減免できること。実際に、分割払いの定めをしたり、一定期間の支払猶予が付けられることも少なくありません。それが不服ならば通常の訴訟しかありません。


  9. 判決は、確定を待たず強制執行ができ、強制執行の際に単純執行文については付与を受けなくても良いこと。


  10. 判決に対する不服申立ては、同じ簡易裁判所での異議の申立てに限られ、控訴は認められないこと。異議の申立てをしても、同じ簡裁で同じ裁判官が異議審も担当するので逆転判決はまず期待できず、上級審に控訴ができないため、事実上少額訴訟の判決が最終判決となります。仮に誤審だと思っても、30万円の損と考えてあきらめるしかありません。

以上のような特色を持った少額訴訟ですが、簡易裁判所に行けば、提訴の方法に対する相談に応じてくれます。しかし、単なる事務手続きの相談に限られ、勝訴するための相談ではありませんし、勝訴の可能性についても答えてくれませんのでお間違いなく。

提訴するのは、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所ですが、売掛金や家賃などの持参債務(債務者が債権者の住所地に持参して払うべき債務)の場合は、債権者の住所地の簡易裁判所となります。
裁判所に納める費用としては、訴訟の手数料と連絡用郵便切手があります。手数料は収入印紙で納付します。金額は訴額により異なります。たとえば、最低は訴額5万円以下の場合で500円、以後30万円に達するまでは5万円きざみで500円ずつ上がり、訴額が25万円超30万円以下の場合は3,000円です。また、当事者の呼び出しなどに使用するための郵便切手も納めます。裁判所により若干異なりますが、最低6,300円(当事者が1人増すごとに2,100円増し)で、切手の額面の種類と枚数も定められています。詳しくは裁判所で聞いてください。

少額訴訟は本人でもできますが、やはりある程度の実体法に関する知識は必要でしょう。弁護士に頼んでも、通常は採算面で割に合わないため敬遠されてしまいます。そこで、司法書士の利用をお勧めします。司法書士は、不動産や会社の登記だけでなく、裁判所に提出する書面の作成もできるのです。ただし、裁判における代理人にはなれませんので、本人に代わって出廷することはできません。

司法書士ならば少額訴訟の訴状も作成してくれますし、手続きについても教えてくれます。司法書士手数料は、個人差はありますが、おおむね3万円プラス消費税です。但し注意点として、司法書士には、合格率3%前後の難関国家試験に合格して資格を得た人と、法務局などの職務経歴によって無試験で資格を得た人が混在しています。能力も千差万別ですし、裁判事務は取り扱わず、登記だけしかやらない人も少なくありません。したがって司法書士の選択が重要です。知人から、信頼できる有能な司法書士の紹介を受けるのが確実ですが、そうしたル−トがない場合には、事務所の看板や名刺などに、取扱業務として「裁判事務」「少額訴訟」などと書いてある司法書士を選ぶべきです。なお、筆者が推薦するのは、船橋市の斎藤好輝司法書士(TEL 047−420−3035)と、習志野市の松鵜孝之司法書士(TEL 047−473−3371)です。

少額訴訟で勝訴したにもかかわらず、もしも相手方が判決通りに支払ってくれない場合には、強制執行(民事執行)が必要になります。勝訴の判決だけでは絵に描いた餅にすぎません。この手続きも司法書士に相談が可能です。売掛金などの商事債権の時効は5年ですが、勝訴の判決を得ると、時効は判決の日から10年に延長されます。強制執行もこの期間内に行わないと債権の権利が消滅しますが、そこまで悠長に待たずに迅速な回収を心がけてください。

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006)税理士をタダで利用する方法
007)税理士のいない会社のための、税務調査対応法1
008)税理士のいない会社のための、税務調査対応法2
009)税理士のいない会社のための、税務調査対応法3
010)税理士のいない会社のための、税務調査対応法4
011)税理士のいない会社のための、税務調査対応法5
012)確定申告のチェックポイント
013)2001(H13)年度税法改定のあらまし
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021)2003(H15)年税法改定案の読み方1
022)2003(H15)年税法改定案の読み方2
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