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2001(H13)年度税法改定のあらまし

※文章は2001年4月の法律を元に記述されています

今回は、3月に国会を通過した、H13年度の税法改定のあらましについて述べることとします。なお、この原稿は4月22日現在で書いておりますが、その後税法の追加改定がある可能性がありますので、その旨お含み置きください。

(1)贈与税の非課税限度額の拡大
昨年度までは、贈与税の基礎控除(非課税限度額)は60万円でした。つまり、一年間で贈与を受けた金額の合計額が60万円を超えると、贈与税がかかったわけです。この基礎控除が、今年1月1日以降の贈与からは、110万円に増額されました。したがって、1年間で110万円までの贈与を受けても、贈与税はかからなくなりました。また、110万円を超えた贈与があった場合も、基礎控除の変更により課税対象額が減少するため、減税となります。

(2)相続税における、小規模宅地の評価減の拡大
相続により遺産を取得した場合で、被相続人(亡くなられた方)が事業用または居住用に使用していた宅地がある場合、200u(一定の事業用宅地は330u)までの部分は、その評価額から、50%(一定の場合には80%)を減額して計算できる制度がありました。相続税における小規模宅地の評価減という規定で、一定の土地を相続した場合には、なんと2割または5割の金額で評価できたのです。
この制度が今年の改定でさらに拡充されました。具体的には、H13年1月1日以降に相続した場合の小規模宅地の評価減が、次のようになりました。

  1. 小規模居住用宅地で、同居親族または配偶者が取得して、引き続き居住する場合。
    ⇒ 80%減額できる面積が、200uから240uに増えました。


  2. 上記@以外の小規模居住用宅地
    ⇒ 従来どおり200uまで50%減額となります。


  3. 小規模事業用宅地で、事業を継続する相続人が取得した場合。または、一定の要件に該当する同族会社に貸付けている場合。あるいは、国営事業(特定郵便局)用に使用している場合。
    ⇒ 80%減額できる面積が、330uから400uに増えました。


  4. 上記B以外の小規模事業用宅地
    ⇒ 従来どおり200uまで50%減額となります。
以上のように、一定の要件に該当する宅地を相続した場合には、多額の相続税が減額されることとなります。たとえば、都会の1坪(3.3u)当りの評価額が200万円の事業用宅地を400u相続し、事業を継続する場合は、相続財産の課税価格から1億9千万強の金額を控除できることになります。都心の土地を相続した人と、田舎の土地を相続した人では、仮に土地全体の時価が同じであっても、相続税の負担が大幅に違うこととなります。また、相続人相互の間でも、小規模宅地に該当する土地を相続した人と、それ以外の財産を相続した人では、相続税の負担が大幅に違います。これは、法の下の平等に反するのではないか、と私は感じています。小規模宅地の評価減は、面積ベ−スではなく、金額ベ−スに直すべきだし、法定相続人相互間ならば、小規模宅地を相続できなかった人にも公平な減税をすべきではないでしょうか。

(3)住宅取得資金の贈与税の特例の増額
従来から、住宅を取得するために親または祖父母から金銭の贈与を受けた場合で、過去5年間に本人または配偶者所有のマイホ−ムに住んでおらず、所得1,200万円以下、その他一定要件に該当する場合は、贈与を受けた金額のうち1,500万円までは、いわゆる5分5乗方式で贈与税の計算ができる特例がありました。この特例を使うと、300万円までの贈与ならば非課税となり、1,500万円までは大幅減税となりました。
上記(1)の贈与税基礎控除の増額に合わせて、この住宅取得資金の贈与の特例も増額され、非課税となる金額が550万円に増え、それを超える贈与の場合も減税額がさらに増えました。ちなみに新法による贈与税の負担は、1,000万円の贈与であれば45万円、1,500万円の贈与であれば105万円になります。
また、住宅の新規取得だけでなく、過去5年以内に居住していた本人所有のマイホ−ムを、資金贈与を受けた年の翌年末までに売り、新たな住宅に買い換える場合も、この贈与税の特例が受けられることとなりました。
さらに、新築だけでなく、1千万円以上または50u以上の増改築でも適用が受けられるようになりました。

(4)住宅借入金控除の改定
H11年に大改正があり、借入金残高が5千万円までが対象で土地部分の借入金も含む、控除期間は15年間、理論上最大の控除額は15年間合計で587万5千円と、大幅に拡充された住宅ロ−ン控除でしたが、H13年7月1日以降入居分から、若干縮小されます。
つまり、借入金残高5千万円までは変わりませんが、控除期間は10年、控除額は借入金残高の1%、理論上最大の控除額は10年間合計で500万円と変更されました。
なお、税法の再改定がない場合には、住宅ロ−ン控除はH16年1月から元の6年間に戻ることとなります。

(5)パソコンの耐用年数の変更
H11年改正税法でつくられた、青色申告法人と青色個人事業者の、1台当り100万円未満のパソコン等特定情報通信機器の即時償却が、H13年3月31日で廃止されました。
しかしながら、その代替策という訳ではないでしょうが、H13年4月以降開始事業年度からは、パソコン及びパソコン周辺機器の耐用年数が、従来の6年から4年に短縮されました。また、大型汎用コンピュ−タ−やネットワ−クサ−バ−の耐用年数も、従来の6年から5年に短縮されました。
この耐用年数変更は、新規取得分だけでなく、従来から所有している資産にも適用されます。
しかし、この程度の耐用年数では実態に合っているとはいえないでしょう。パソコンは、ほぼ3箇月毎のサイクルで高性能・安価の新機種が発売されており、その技術革新のすさまじさは、快適に使いたければ1年半か2年、がまんして使っても3年での買替えを必要としています。財務省のお役人さまは、4年前のパソコンをまだ使用しているのでしょうか。

(6)その他
個人が商品先物取引で利益を得た場合の所得税が、従来の雑所得としての総合課税(給与や事業所得など他の種類の所得とは損益通算できないが、公的年金など他の雑所得との損益通算は可能)から、申告分離課税となり、商品先物取引以外の所得との損益通算ができなくなりました。税率は所得税20%、住民税6%です。
また、個人が上場株式を証券市場で売却し譲渡益がでた場合の所得税につき、売却価額の1.05%を証券会社が天引き納付すれば確定申告不要という源泉分離制度が、H15年3月31日まで延長されました。
このほか、1年以上保有した上場株式の譲渡益について、申告分離を選択すれば年間の譲渡益100万円までを非課税にしようという動きがありますが、この原稿を書いている4月22日現在では、まだ国会を通過しておりません。それよりも、株式の譲渡損失について、給与や事業所得など他の種類の所得との損益通算を認めてほしいとボヤいているのは、私だけでしょうか。

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005)所得税申告書の提出でドジを踏んだ場合
006)税理士をタダで利用する方法
007)税理士のいない会社のための、税務調査対応法1
008)税理士のいない会社のための、税務調査対応法2
009)税理士のいない会社のための、税務調査対応法3
010)税理士のいない会社のための、税務調査対応法4
011)税理士のいない会社のための、税務調査対応法5
012)確定申告のチェックポイント
013)2001(H13)年度税法改定のあらまし
014)税理士法改正の裏側
015)従業員の福利厚生費1
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019)株式投資における新税制
020)ストックオプション裁判の判決
021)2003(H15)年税法改定案の読み方1
022)2003(H15)年税法改定案の読み方2
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