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個人商売の所得税確定申告

個人で商売を営んでいます。所得税確定申告の相談です。
このたび、妻と共有で、店舗併用住宅とその敷地を6000万円で購入しました。私(夫)と妻の持分は各2分の1ずつで、土地・建物とも持分比率は同じです。
妻は、妻の父の経営する会社の役員となっているため、私(夫)の個人事業の専従者にはなっていません。
購入した店舗併用住宅の、事業用部分の床面積は40%、居住用部分の床面積は60%です。
購入資金は、私(夫)は銀行から借入期間8年の事業用ロ−ン1500万円を借り、自己資金1500万円を用意しました。妻は銀行から借入期間20年の住宅ロ−ン2500万円を借り、自己資金500万円を出しました。なお、ロ−ンはそれぞれ単独債務です。
今回の妻の住宅ロ−ン控除の確定申告において、妻が取得したのは土地建物の50%ですが、借入金2500万円はすべて居住用部分の取得にあて、自己資金500万円も居住用部分の取得にあてたとして、妻の借入金残高の全額を住宅ロ−ン控除の対象として申告してもかまわないでしょうか。
また、私(夫)の事業所得の確定申告において、借入金1500万円は全額事業用部分の取得にあてたとして、借入金支払利息の全額を、事業の必要経費に入れてもかまわないでしょうか。

もしも仮に、夫婦で建物について区分所有の登記をしており、ご主人の区分所有する部分は店舗部分の全部と住宅部分の6分の1となっており、奥様の区分所有する部分が住宅部分の6分の5となっていれば、そのような解釈も可能でしょう。しかし、土地建物の全体が2分の1ずつの共有登記とのことですので、残念ながら居住用部分を奥様が多く、事業用部分をご主人が多くという都合のよい申告はできません。

奥様の住宅ロ−ン控除の対象となる借入金残高は、次の算式で計算します。

(1) 夫婦全体の取得価格6000万円 × 持分50%
× 居住用部分床面積割合60% = 1800万円
(2) 奥様の住宅ロ−ン借入2500万円
(3) 1800万円 < 2500万円
∴ 1800万円を対象として計算 (つまり、住宅ロ−ン控除は、奥様の年末借入金残高の25分の18の1%が最大限度額となる。)

住宅ロ−ン控除には、贈与税における、婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用財産贈与の2千万円控除のように、居住用部分を優先的に適用してよいという通達はありません。お間違いのないように。

ご主人の事業所得の計算では、事業用資産購入のための同一生計親族名義の借入金であれば、奥様名義であっても、事業用部分の取得に対応する借入金の支払利息は、ご主人の所得税申告で必要経費に算入できます。(所得税法第56条と、所得税基本通達56−1をご参照ください。)
したがって、ご主人の事業所得の必要経費の計算の基礎となる借入金は、ご主人の借入金1500万円の40%である600万円に対応する支払利息と、奥様の借入金2500万円の40%である1000万円に対応する支払利息の合計額となります。

なお、ご主人の借入金は住宅取得にあてられた部分が60%あるものの、借入期間が10年未満であるため、ご主人は住宅ロ−ン控除が受けられません。ご主人の銀行ロ−ンも期間10年以上にしておけば、居住用割合に応じた住宅ロ−ン控除が受けられたわけです。
バックナンバー
001)医療費控除の訂正について
002)相続財産中の郵便貯金について
003)贈与における注意事項について
004)会社の精算について
005)遺産の相続手続きを失念した場合
006)年末調整、どうしたら有利?
007)国税徴収官って?
008)減価償却の申告のやりなおしはできる?
009)消費税を納税できない!
010)株券の発行は省略できる?
011)税務調査を録音するのはOK?
012)保証人を降りるには?
013)社会保険料が支払えない!
014)外国に本社がある場合の資本金は?
015)役員報酬の支給不足額について
016)役員報酬の未収計上
017)個人商売の所得税確定申告
018)会社所有者の自賠責保険