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年末調整、どうしたら有利?

共働きの夫婦です。夫はサラリ−マンで、年収は約350万円あります。妻はパ−トで働いており、年収は877,900円です。
妻の年末調整で、妻の税金はいくらになりますか。
また、夫の年末調整で妻を扶養家族として申告し、配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができますか。
さらにまた、妻が契約者となっている生命保険(学資保険)があり、保険料は年間で27万円払いました。保険料の支払は家計から出しましたので、夫婦いずれの収入から支払ったかは判別できません。生命保険料控除は、夫婦いずれの年末調整で受ければ有利でしょうか。

奥様の所得は、パ−トの年収877,900円から給与所得控除の65万円を控除しますので、227,900円となります。この金額は、奥様の基礎控除である38万円以下ですので、奥様の課税所得はゼロとなり、奥様には所得税はかかりません。

また、奥様の所得は38万円以下ですので、ご主人の年末調整で、ご主人が配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができます。配偶者控除の額は、奥様が特別障害者ではなく、かつ70歳未満の人(一般控除対象配偶者といいます)ならば38万円です。配偶者特別控除は、奥様の所得金額に応じて減額されるため、満額の38万円は受けることができず、このケ−スでは18万円となります。

生命保険料控除については、ご主人が保険料を負担していることにすれば、ご主人の年末調整で控除をうけられます。生命保険料控除は、保険契約者と保険料負担者が同一生計親族であれば、実際に保険料を負担した人が受けられるからです。奥様が保険料を負担していることにすれば、奥様の年末調整で控除を受けるしかありませんが、もともと奥様の所得税はゼロですので、ゼロから引くことはできず、生命保険料控除もゼロとなってしまいます。

もしもご主人の勤務先の年末調整で生命保険料控除の適用を失念したならば、ご主人が税務署で確定申告をして生命保険料控除を受けることも可能です。しかし、この場合は注意すべき点があります。生命保険の満期金が入った時に、満期保険金の受取人が奥様で、毎年の保険料負担者がご主人の場合には、満期金がご主人から奥様への贈与となってしまいます。つまり、満期金の金額が贈与税の基礎控除(現在は60万円ですが、税法改正案が国会を通れば来年以降は100万円か120万円に変更される可能性もあります)を超えた場合には、贈与税が課せられることになってしまうのです。もしも毎年の保険料を奥様が負担していたのならば、奥様の所得税における一時所得となり、満期金から毎年の支払保険料累計を差し引き、さらに50万円の特別控除を差し引いた額の2分の1に対して所得税が課せられるので、通常ならば贈与税よりはずっと軽い税負担ですむのです。税務署に確定申告をすることは、保険料を誰が負担していたかの証拠を税務署に渡すこととなります。ご主人が税務署へ確定申告をして生命保険料控除を受ける場合は、贈与税のことも考慮した上で有利不利を判断してください。
バックナンバー
001)医療費控除の訂正について
002)相続財産中の郵便貯金について
003)贈与における注意事項について
004)会社の精算について
005)遺産の相続手続きを失念した場合
006)年末調整、どうしたら有利?
007)国税徴収官って?
008)減価償却の申告のやりなおしはできる?
009)消費税を納税できない!
010)株券の発行は省略できる?
011)税務調査を録音するのはOK?
012)保証人を降りるには?
013)社会保険料が支払えない!
014)外国に本社がある場合の資本金は?
015)役員報酬の支給不足額について
016)役員報酬の未収計上
017)個人商売の所得税確定申告
018)会社所有者の自賠責保険