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株券の発行は省略できる?

株式会社を新規に設立しました。株主といっても、社長の私、取締役の妻、取締役の私の弟とその妻、監査役の父、それに取締役となる友人の、合わせて6人だけですが、株券を印刷して発行する義務があるのでしょうか。どうせ売却などできない株ですから、株券を印刷するのも意味がないような気もしますので、できれば株主名簿に載せるだけで、株券の発行は省略したいのですが。

結論から先にいいますと、株主の同意があれば、株券を発行しないことも可能です。

株券の発行は、昭和41年以前は株式会社の義務でしたが、昭和41年の商法改正で、株券不発行制度(株券不所持制度ともいう)が認められました。(商法226条ノ2) 但し、この株券不発行制度を採用するか否かは会社の任意で、定款にこの制度を採用しない旨を書くことも可能です。この制度の概要は次の通りです。

株主は、会社の設立や増資による新株発行の際に、あるいは株券がすでに発行されている場合はその株券を会社に提出して、会社に株券不要の申し出をすることができます。この場合、会社は株券不発行の旨を株主名簿に記載し、株券を発行することができなくなります。(あるいは会社は、提出された株券を信託銀行等に寄託する方法を選択することもできます。)

株券不発行制度により株券が発行されなかった場合において、株主はいつでも、会社に対して株券の発行を請求することができます。この場合、会社はその株主から、株券発行に係る費用を徴収することができます。

以上のように、株券を発行しないことは商法上可能ですが、あくまでも株主がそれを認めた場合に限られるわけです。しかし現実には、小規模の同族経営の株式会社は、そのほとんどが株券を発行しておらず、株主名簿ですら、法人税申告書の別表2の記載で間に合わせているのが実情です。株主といっても皆身内ばかりですし、株の売却など不可能ですので(定款で、株式の譲渡に取締役会の承認を要すると書いていなくても、現実に株の買い手が現れることがあり得ない)、わざわざ株券を発行しなくても支障がないのでしょう。
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