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遺産の相続手続きを失念した場合

私の祖母が5年前に死亡しました。遺産はマンションが一筆あるだけで、他に預貯金などの財産はほとんどなかったそうです。相続人は祖母の子供2人(私の父と、私の叔父)ですが、相続の手続は何もしておらず、マンションの名義も5年前に死亡した祖母のままになっていますし、相続税の申告もしていません。このままにしておいてよいのでしょうか。また、将来私の父が死亡した時に、何か不都合がおこらないでしょうか。

まず、相続税の問題についてお答えします。相続税は、基礎控除を超える遺産があった場合、亡くなられた日の翌日から起算して10ヶ月以内の申告期限までに、相続税の申告をして税金を納付しなければなりません。遺産の合計額が基礎控除の範囲内ならば、相続税の申告は不要です。基礎控除は、5千万円と法定相続人1人当り1千万円ですから、相続人が子供2人の場合は、遺産が5千万+(1千万×2人)で7千万円までならば、相続税の申告はいりませんし、相続税もかかりません。

万一お祖母さんの遺産が7千万円を超えていれば、上記の法定申告期限までに相続税の申告が必要ですし、納税額があるにもかかわらず申告期限までに申告しなければ、無申告加算税や延滞税という罰金もかかります。お父さんが申告義務があるにもかかわらず申告せずに亡くなられた場合、お父さんの相続人である妻子がお父さんの相続税の申告義務と納税義務を引き継ぎます。ただし、お父さんの妻子がお父さんの死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをした場合には、お父さんの遺産の相続はできなくなりますが、納税義務も引き継ぎません。
また、税金の時効は、無申告の場合は申告期限から5年、意図的な脱税の場合で7年ですから、申告義務があっても時効が成立してしまえば、お祖母さんの相続による相続税の納税義務は消滅し、もちろんお父さんの妻子も納税義務を負いません。

次に、相続登記の問題についてお答えします。マンションの名義をお祖母さんからその相続人に変更するか否かは相続人の任意です。相続登記を失念しても罰則は全くありません。ただ、登記をしていないと、事情を知らない第三者にマンションの所有権を主張できませんし、売却もできません。したがって、早急に相続登記をして名義変更されることをお勧めします。また、もしも名義変更をしないままお父さんや叔父さんが死亡した場合は、名義変更をするためには、お父さんや叔父さんの相続人全員の同意と実印及び印鑑証明が必要となり、大変面倒なことになります。
バックナンバー
001)医療費控除の訂正について
002)相続財産中の郵便貯金について
003)贈与における注意事項について
004)会社の精算について
005)遺産の相続手続きを失念した場合
006)年末調整、どうしたら有利?
007)国税徴収官って?
008)減価償却の申告のやりなおしはできる?
009)消費税を納税できない!
010)株券の発行は省略できる?
011)税務調査を録音するのはOK?
012)保証人を降りるには?
013)社会保険料が支払えない!
014)外国に本社がある場合の資本金は?
015)役員報酬の支給不足額について
016)役員報酬の未収計上
017)個人商売の所得税確定申告
018)会社所有者の自賠責保険