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税金についての質問についてお答えいたします。これからも、随時更新いたしますので、質問のある方は「アクセス」のメールフォームよりどしどしお寄せください。 |
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まず、毎年61万円ずつ贈与をすることの可否についてです。この場合、税務署から「連年贈与」であるとして、毎年の贈与税の申告を否認され、一度に贈与したものとして贈与税が課される可能性があります。つまり、一例をあげれば、親ははじめから子に305万円を贈与するつもりであったが、一度に305万円を贈与すると贈与税が31万5千円かかるため、5年に分けて61万円ずつ贈与し、贈与税を5年分合計の5千円で済ませようとし、31万円を脱税した、と認定され、課税される危険性があるのです。
この「連年贈与」と認定されないためには、毎年均等額ずつの贈与をしないことです。つまり、毎年続けて贈与をした場合、数年に一度は贈与を休む年をつくります。さらに、贈与する金額も毎年変える必要があります。もっとも、何年連続でいくら贈与すれば連年贈与に該当するかという明文の規定はなく、税務署サイドの心証に左右される部分がありますし、万一連年贈与として課税されても、納税者が裁判で争った場合、当初から連年で贈与する意思があったか否かという問題は、税務署も納税者もいずれも証拠が出せないでしょうから、結局は裁判官の心証で決まりましょう。したがって、中立な第三者が見て、贈与税逃れのために数年に分けて贈与した、とみなされないように工夫をすればよいわけです。
なお、親が子に贈与をする場合には、贈与税の基礎控除である60万円以下の贈与に抑えれば贈与税はゼロとなりますが、後日税務署の調査があった場合、いついくらを贈与したのか、という証拠がありません。それを避けるためには、子の定期預金通帳等で贈与を受け預金した日付を確定させ、保管しておくなどの工夫が必要です。それならば、むしろわざと60万円を超える贈与をし、面倒でも贈与税の申告をして、少額でも贈与税を納付しておけば、贈与税申告書の控えが贈与の証拠となりますので、その方が賢明な方法です。
次に、親から子に贈与があったとして贈与税の申告書が提出されても、実際にはその財産の管理を子にまかせず、親がそのまま管理している場合です。たとえば、預金の名義だけを子に変更したが、通帳は親が保管しているケ−スです。この場合には、実際には贈与はおこなわれず、その預金は実質的に親の財産であると認定される可能性があります。相続税の調査でよく起きる問題ですが、子名義の預金であっても、通帳と印鑑を親が管理し、満期の更新も親がおこなっている場合には、単なる「名義預金」であるとして親の相続財産として相続税の対象とされてしまうのです。これを避けるためには、子が成年となったならば、通帳と印鑑は必ず子に渡す必要があります。えっ?
そんなことをしたら遊びに使われてしまうって? そんな放蕩息子に贈与するくらいならば、そのお金を税金として国に納付して、在日米軍への思いやり予算とか、高級官僚のビッグな退職金とか、官官接待とか、不良債権の処理に苦しむ農協や銀行の救済とかに使ってもらいましょう。
最後に、特定の子だけに贈与をした場合の問題点です。もともと親の財産ですから、だれに贈与しようと親の自由です。しかし、親が亡くなり相続が生じた場合には、特定の子だけが、生前に親から特別に財産をもらっていたとか、家を建ててもらった、豪華な嫁入り道具をもらった、海外留学をさせてもらった、などの経済的利益を受けていた場合には、「特別受益の持ち戻し」といって、相続財産の分割にあたり、これらの利益の額を差し引くことになります。
したがって、生前贈与を受けていた財産の額だけ、相続でもらえる財産が減ることになります。これを避けるためには、親が生前に遺言書を書き、各相続人のもらう財産を指定しておけばよいのです。ただし、子であれば民法の規定による法定相続分の2分の1は、遺言にかかわらず遺留分としてもらう権利がありますので、もしも遺言でもらえる財産が法定相続分の2分の1に満たなければ、家庭裁判所に「遺留分の減殺請求」をして、不足分を取り戻すことができます。 |
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