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医療費控除の訂正について

うちは、親子で同居しています。昨年(H11年)分の所得税は、親はサラリ−マンのため会社の年末調整で済ませ、確定申告はしておりません。子は事業をしているため確定申告をし、その際医療費控除を受けて、家族全員分の医療費をまとめて、子が医療費控除を受けました。
申告書提出後に、子よりも親の方が所得が多く、所得税の税率が高かったため、家族の医療費は親の方にまとめて医療費控除を受けた方が有利であったことに気付きました。
今から親の方で家族全員分の医療費をまとめて、親が医療費控除を受けることができるでしょうか? もしできるのであれば、親は期限後申告、子は修正申告となるのでしょうか? よろしくお願いします。

まず第一に、その親子は同一生計であったかどうかです。たとえ同居していても、いわゆる二世帯住宅などで、親子で生活費をきちんと区分していた場合には、親子は別生計となります。したがって親の確定申告で子の医療費を控除することも、子の確定申告で親の医療費を控除することも、いずれもできません。

次に、親子が同一生計であった場合です。同一生計とは、財布を一緒にして生活していることをいいます。この場合、実務上では、家族の中で最も所得税の税率の高い人(一般的には最も所得の多い人)が家族全員の医療費を払ったことにして、家族全員の医療費をまとめて医療費控除を受けるのが有利です。この場合、同一生計親族であれば、税法上の扶養親族であるか否かは問われません。

但し、税法上は、医療費控除はあくまでも実際に医療費を支払った人が控除を受けることとなっています。親が同一生計の子(税法上の扶養親族でなくてもよい)の医療費を支払ったのならば、親の確定申告で子の医療費も控除できます。しかし、子が自分の医療費を自分の稼ぎから払ったのであれば、子の確定申告で医療費控除を受けなければなりません。しかしながら、医療費をだれの稼ぎから払ったか、などということは、家族が同じ財布で生活している以上、誰が稼いだお金かお札に名前でも書かない限り、家族でも分からないし、調べようがないでしょう。

質問のケ−スでは、当初の申告で子が家族全員分の医療費控除を受けているということは、申告上は子が家族全員の医療費を支払いました、と意思表示をしている形になります。それを、今度は親が家族全員の医療費を控除するということは、親が家族全員の医療費を支払っていました、と意思表示を訂正することになります。この意思表示変更の根拠は用意できるのでしょうか? 但し、もしも親が家族全体の医療費を控除した期限後申告書を提出した場合、税務署側でも、その親の意思表示が間違っているとして立証することは困難でしょう。

さらにもう一つ、医療費の領収書の問題があります。医療費控除を受ける時は、医者や薬局の発行する領収書を税務署に提出するか、または提示しなければなりません。おそらく、領収書は子の確定申告の際に税務署に提出してしまい、手元にないと思います。したがって、今回親の期限後申告で医療費控除を受けるのであれば、領収書を再発行してもらう必要があります。すでに税務署に提出した領収書は、税務署側で申告書のチェックが終了すると、処分するかまたは別のところに持っていってしまう(医者や薬局の税務調査の資料に使えますネ)ため、返却はしてくれません。領収書の再発行は可能でしょうか?

結論として、医療費の領収書を再度用意できるならば、親は医療費控除適用の期限後申告書を提出し、子は医療費控除がなかったものとして修正申告書を提出することとなりますが、やってみる価値はあるでしょう。親のほうが所得が高いのであれば、親が家族全員の医療費を負担したとしても不自然ではありません。もちろん証拠はつくれないでしょうが、税務署側とて反証を用意できない点は同じです。ただし、証拠が用意できない以上、税務署側が認めなかった時はあきらめてください。
バックナンバー
001)医療費控除の訂正について
002)相続財産中の郵便貯金について
003)贈与における注意事項について
004)会社の精算について
005)遺産の相続手続きを失念した場合
006)年末調整、どうしたら有利?
007)国税徴収官って?
008)減価償却の申告のやりなおしはできる?
009)消費税を納税できない!
010)株券の発行は省略できる?
011)税務調査を録音するのはOK?
012)保証人を降りるには?
013)社会保険料が支払えない!
014)外国に本社がある場合の資本金は?
015)役員報酬の支給不足額について
016)役員報酬の未収計上
017)個人商売の所得税確定申告
018)会社所有者の自賠責保険